公務員の窓口対応 発展編(クレーム対応)
公務員の窓口対応 発展編 クレーム対応
こんにちは。公ペンです。
前回の続きです。窓口対応の発展編
クレーム対応について述べていきます。
1 クレームとは
期待するサービスと提供されたサービス
との間にギャップがあったときに
生まれる苦情や不満です。
市民意識の高まりや価値観の多様化により、
近年、クレームは増加傾向にあります。
また個々の状況にあわせた行政サービスが
選択できるような期待があるのに
サービスの提供が間に合わない現実があり
このようにクレームは日常的に発生しています。
2 ダイレクトクレームとサイレントクレーム
① ダイレクトクレーム
電話や窓口等で、表面化したクレーム
② サイレントクレーム
不平・不満に思っても、顕在化しないクレーム
ダイレクトクレームより数が多い
皆さんがイメージするクレームは、
窓口や電話等で直接発せられる
ダイレクトクレームかと思いますが
実際に直接クレームとして表面化する
ダイレクトクレームは全体の
わずか4%しかないと言われています。
大半の方は「仕方ない」と諦めたり、
「もう二度と利用しなければいい」と
サイレントクレームで、見切られてしまいます。
サイレントクレームは表面化しにくく、
気付かぬまま放置すると、取り返しの
つかない状況になってしまったり、
せっかくの業務改善の機会を失うことと
なってしまいます。
サイレントクレームに気づけるよう
自分のアンテナの感度を上げること
もしサイレントクレームに気付けた時は
丁寧に確認し、解消することが大切です。
3 クレームの種類
①「モノ」「コト」に関するクレーム
「商品」「サービス」「手続き」等に起因するもの
(例)サービスの質の悪さ、書類の記入漏れ
手続きの煩雑さ、商品の破損・汚れ など
②「ヒト」に関するクレーム
電話や窓口等で、職員の対応に起因するもの
(例)言葉使いが悪い、ぞんざいな対応
説明が不明瞭、対応が遅い など
※「モノ」「コト」に関するクレームが、対応の中で「ヒト」に関するクレームに変わる場合もあります。
特に注意すべきは「ヒト」に関するクレームです。
ヒトに関するクレーム発生の2大要因は、
窓口や電話で対応した職員の「知識や技術のなさ」
言葉遣いの悪さなどの「応対スキルの低さ」と
個々のスキルに起因するものです。
「知識や技術のなさ」は業務経験を
積んでいく必要がありますが、「応対スキルの低さ」は
日々の心がけで改善することが可能です。
「モノ」「コト」に関するクレームを
「ヒト」に関するクレームに発展させないよう
意識した応対を心がけましょう。具体的な
対応方法については、次に述べていきます。
4 実際のクレーム対応
(1)心構え
ア 最後まで責任を持って対応する。
イ 共感・傾聴の姿勢で対応する。
ウ プロ意識を持って対応する。
エ クレーム対応は成長への好機と考え対応する。
(2)クレーム対応手順
① 話を聞き落ち着かせる【心情理解】
まずは相手の気持ちを吐き出させ、
感情の沈静化を図ります。基礎編で
説明したうなずきやあいずちによる
共感の姿勢がキーとなっていきます。
相手の話しやすい状況を整えましょう。
② 不快感を与えたことにお詫び【部分謝罪※】
不快感や不満感を与えたことに対して
お詫びをします。
※ サービスそのものに対する謝罪とは違う点に注意です。
(もちろんサービスに関する不手際があった場合には
サービスに対する謝罪も必要です。不手際がない場合には
サービスに関する謝罪は不要です。)
③ 相手の話を聞く【事実確認】
相手が冷静になったところで、聞き役に徹して
実際の事実把握に努めます。
メモを取り5W1Hを明確にし、事実確認を行います。
概要把握後、相手方に概要を復唱し齟齬がないよう
確認します。
④ 対策の提示
③の冷静な状態での事実確認を踏まえたうえで、
相手方の要望や要求に対する最善の策を模索し
提案します。またこの時点で、行政側の非が
確実な場合、部分謝罪だけでなくきちんとした
謝罪を行います。
⑤ 感謝
指摘・意見により業務改善の機会と
なったことに感謝を述べます。
⑥ 業務改善
再発防止のため、原因分析を行います。
クレーム対応は初期対応が重要です。手順①②の段階で
傾聴の姿勢により、相手に「信頼感」「誠実性」を
感じさせることができれば、早期に感情を沈静化させ、
冷静な対応へ導きやすくなります。
クレーム対応については最後にNGな対応例を3点述べて終わりとします。
【NGな対応例】
① 相手の話の腰を折って、説明を始める。
② 相手の話に反応し、すぐに言い訳や反論を行う。
③ 相手の知識不足を指摘する。
やるわけないよ。と思っていても
無意識にやってしまっている場合もあるので、
再度、確認しておきましょう。
また上記のクレーム対応の話は
行政に限ったことではないので、
ご活用いただければ幸いです。